森の鏡

深い森の中に、ひとつの魔法の鏡がありました。鏡には、見る者に真実の姿を映し出すという特別な力がありました。真実の姿とは、外見ではなく、心の中に秘められた本当の姿でした。

森の中に住む動物たちは、みんなこの魔法の鏡の噂を聞いていました。しかし、自分の真実の姿を見ることが怖くて、誰も魔法の鏡の前に立つことはありませんでした。

ある日、一匹の狐が森を歩いていて、偶然魔法の鏡を見つけました。狐は勇敢な性格だったので、自分の真実の姿を見ることに興奮しました。しかし、鏡の中に映ったのは、自分が思っていた以上に狡猾で、他人を騙すことを楽しむ自分自身でした。狐はその姿に驚き、深く傷つきました。

次に魔法の鏡を見つけたのは、一羽の鳥でした。鳥は自由に飛び回ることを愛していましたが、鏡の中に映ったのは、他人の羽根を羨ましく思う、妬み深い自分自身でした。鳥もまた、自分の真実の姿に驚き、深く傷つきました。

そして最後に、一匹のウサギが魔法の鏡を見つけました。ウサギは自分が臆病だと思っていましたが、鏡に映ったのは、困難に立ち向かう勇気を持つ自分自身でした。しかし、ウサギもまた、自分の真実の姿を受け入れられず、深く傷つきました。

それからというもの、森の動物たちはみんな、魔法の鏡の前に立つことを恐れるようになりました。そして、魔法の鏡はぽつんと森の中に残され、誰も訪れることのない寂しい存在となりました。

森の動物たちはそれぞれの生活を続けました。しかし、一度魔法の鏡に映った自分の真実の姿は、彼らの心に深く残りました。魔法の鏡は誰も映さず、また以前のようにただ時が過ぎていくのを待つばかりでした。

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