排泄する都市:石川 風太郎

石川 風太郎:大手建設会社で長年現場に携わり、退職後は都市計画と環境デザインのコンサルティングで起業。その豊富な経験と知識を活かし、コラムニストとしても活躍。

我々人間が健康を保つためには、摂取したものを適切に排泄することが必要である。これは身体の基本的な機能であり、そうしなければ健康に影響が及ぶ。だが、この事実は人間だけでなく、私たちが生活する都市にも当てはまる。都市もまた、私たち人間が日々生み出すゴミや排出物を適切に処理しなければ、その健全な運営は保たれない。

都市が排泄するものといえば、ゴミが最も直接的に思い浮かぶ。日々私たちが生活する中で生じるゴミは、その管理が適切に行われないと都市の環境や風景、さらには公衆衛生にも影響を及ぼす。なぜならば、管理されていないゴミは街の美観を損なうだけでなく、病原菌の繁殖地ともなるからだ。

都市の”排泄物”はもちろんゴミだけではない。例えば、私たちが毎日使う電力。その供給元となる火力発電所は、二酸化炭素を大量に排出する。これが温室効果ガスの一因となり、地球温暖化を引き起こす。それだけでなく、石炭やガスを燃やすことで発生する微粒子は、私たちの呼吸器系に深刻な影響を及ぼす。

さらに、都市が生み出す別の”排泄物”として交通騒音が挙げられる。都市の発展に伴い、私たちは日々大量の車や電車、飛行機の騒音に晒されている。これらの騒音は、都市住民の心地よさや健康を脅かす。長期的には、心身のストレスとなりうる。

以上が、都市が私たちに与える排泄物の一部だ。では、どうすればこれらの問題に対処できるのだろう。答えは、しっかりとした計画と管理にある。具体的な例を挙げて説明しよう。都市の排出物をどのように取り扱うか、どのように処理するかは、都市計画の重要な要素である。答えを見つけるためには、日本国内外の成功事例を学ぶことが重要だ。

スウェーデンの首都、ストックホルムはこの課題に成功している都市の一つである。ストックホルム市は一貫してリサイクルと再利用の推進を図り、街の排出物を資源として再利用してきた。家庭から出るゴミは、可能な限り分別され、リサイクルや有用なエネルギー源として再利用される。結果として、ストックホルム市の廃棄物の半分以上がエネルギー源として利用され、また半分以上がリサイクルされている。

また、電力の排出物についてもストックホルム市は先進的な対策を取っている。市内のバスはバイオガスや電力で動き、その電力も再生可能エネルギーから供給される。こうした取り組みにより、ストックホルム市は二酸化炭素排出量を大幅に削減し、都市としてのサステイナビリティを向上させている。

我が国でも、地方自治体が前向きに都市の排出物問題に取り組んでいる。例えば、福岡市は有名な「福岡式埋立処分場」を開発した。これは、ゴミの発酵と分解を促進する独特のシステムで、ゴミの減容化と有害物質の減少を実現した。また、ゴミを燃やす際に発生する熱を利用して発電する「ごみ燃やす発電」も行われている。こうした取り組みは都市の排出物管理における日本の先進的な一例である。

しかし、全てが上手くいっているわけではない。東京都心部の一部では、交通騒音問題が依然として深刻だ。これに対処するためには、交通政策の改善だけでなく、建築物の音響設計の見直しも必要となる。これらは容易な問題ではないが、都市の「健康」を維持するためには避けては通れない課題だ。

まず始めに、一貫したリサイクルと再利用の推進は、都市の「排泄」問題解決の鍵となる。ストックホルムのように、排出物を資源として再利用することで、循環型社会の構築が可能となる。そして、そのためには市民一人一人がリサイクルに参加し、それを日常の一部とすることが重要だ。

しかしながら、ただリサイクルするだけでは不十分だ。無駄な排出を減らすために、消費そのものを見直すこともまた重要である。商品のパッケージや商品そのものの無駄を省き、必要なものだけを使用する。これは、都市の「排泄」を抑える上で最も基本的なステップだ。

次に、二酸化炭素排出量の削減について考えてみよう。この問題を解決するためには、再生可能エネルギーの使用を増やすことが必要だ。また、バイオガスのような廃棄物をエネルギー源として利用することもまた有効な手段だ。

交通騒音の問題については、交通政策の改革だけでなく、建築物の音響設計の見直しも重要だ。建築物自体が音を吸収し、その伝播を抑える設計を取り入れることで、騒音問題は軽減されるだろう。また、電気自動車の普及も都市騒音の低減に寄与する。

これらの施策を適切に組み合わせて取り組むことで、都市の「排泄」問題は克服できるだろう。しかし、それを可能にするためには、私たち一人一人が問題を認識し、都市の一部としての責任を果たすことが必要だ。それが、持続可能な都市環境を築き上げる最初の一歩だ。

そして最後に、これらの都市排泄物問題に対する取り組みは、我々が都市と人間の関係を見直す好機でもある。都市とは、ただ人間が生活する場所ではなく、我々が作り上げるものである。だからこそ、その都市がどのように作られ、どのように運営されるかは、我々一人一人にとって重要な問題なのだ。

私たちは都市の一部であり、同時に都市を作り出す一部でもある。だからこそ、我々が都市の排出物問題にどのように取り組むかは、我々の未来を左右するだろう。あなたの都市は、どのように排泄していますか?

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